引越し屋の選び方II

その4 Aの見積もり(2007年10月9日)

朝の8時35分に「今から行ってもいいか」という電話があった時は面食らったが、実際に来たのは9時10分くらいだった。驚いた。簡単に部屋を掃除して軽く食事をとるくらいの余裕があった。

もう相場はわかっていたし、「フリータイム」だとかで値段を下げられても頼む気にはなれないなと思っていた。55000円のHで決まりだろう。正直いってももう面倒くさいから見積もりは断ってもいいんじゃないかとまで昨日は思った。

やってきたのは50前後の男性で、紺色の上下の作業服姿だった。上着の会社名と見られる刺繍がAのものではあるが、引越し屋の屋号とは別であることに気づいた。

「まず荷物を見せていただいていいですか」というので、まず処分品を説明する。ここまできたら見積もりされるのも慣れたものだ。

Aの見積もりが一番あっさりしていた。「午前の便と午後の便があって、午前と午後とではだいぶ値段が違ってくる」といわれて、来た来た来たと思う。

午後の便というのは何時くらいかとたずねると、15時か16時くらいからのスタートだと言う。「それで、この部屋の荷物だと作業が終わるのに何時間くらいかかるのか」とたずねると、3時間くらいだと言う。18時か19時には終わる計算だ。ちょっと遅いが、めちゃくちゃ遅い時間というわけではない。

午前の便は少ない人数で時間をかけてやるのだという。午後の便は大人数で来て一気に終わらせるのだという。なるほど、大人数で来て一気に終わらせるというのはいいアイデアだ。これはちょっと気づかなかった。

見積り額は税抜きで、午前の便だと42000円、午後の便だと35000円だった。はっきり安いと感じた。午前の便にして5万円を切るとは。そして、安すぎる感じもしない。もし、午前の便で3万円台だったらためらっていたかもしれない。

めちゃくちゃ遅い時間ではないといっても、終わりが18時・19時というのは嫌だし、午前の便でも他と比べれば断然安いので、Aの午前の便で決めてしまうことにした。

「お返事はいついただけますか」と聞かれて、他の見積もりがあることを考慮しているのだなと思った。「今日決めます。午前の便でお願いします」と言う。

「午前の便ですか……」とわずかにためらいがあったように感じたのはなんだったのだろう。まあ、うちのこういう荷物だったら、多少安くても大人数でがーっと済ませたいというのが人情かもしれないが、そういうことなのだろうか。別に気のせいか?僕は何を気にしているのだろう。

見積り総額は税込みで44100円。「ケース類」は40とある。ダンボール箱は明日の夕方(16時半から17時の間だという)に届けてもらうことになった(午前中と言ったのだが、午前中だと都合が悪いらしい)。

決め手は値段だった。今回見積りを頼んだ3社とも、「他にも見積りを頼んでいるのか」と聞いてこなかったし、それはもう承知の上であるようだった。今回の比較見積りは自分自身の納得のためにやれた。別に怪しいところを見つけて値引き交渉をするということをせずとも自分の腑に落ちる金額で頼むことができた。これはよかった。

あとは、当日の引越しがどのようなものであるかだ。

■はみだしメモ

・Aの場合、基本料金とか作業員代とかの細目がない。そもそもそんなものは高いものを安く見せるためのトリックに過ぎないのかもしれない。

・ちなみに作業員は2人だとある。うーん、2人でやって結局19時くらいまでかかったりして。

・「見積条件」に「(1)PC・サーバー等のデータ保証は出来ません、(2)貴重品・骨董品等の運搬出来ません」とある。「お支払方法」が「引越し当日作業着手前に現金」という2つについて確認された。

その5「ダンボールを届けられる」