2007年10月23日(火)、毎日新聞夕刊において、記録集が紹介されました。

以下は、掲載された記事の画像と本文テキストをおこしたものです。

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大阪・長居公園のテント撤去:強制撤去で記録集 野宿者の思い、大学院生ら出版

 ◇記録集「それでもつながりはつづく」

 ◇「弱者に優しい社会に」

 大阪市東住吉区の長居公園で今年2月、野宿者のテント村が市に強制撤去された問題を受けて、野宿者や支援者らが24日、記録集「それでもつながりはつづく」を出版する。テント村での交流や野宿に至る経緯、強制撤去などについて、47人が思いをつづり、「多様性を認め、弱者に優しい社会を」と訴えている。

 記録集をまとめたのは、テント村と交流していた大阪市立大大学院生の渡辺拓也さん(28)やフリーターの川人理恵さん(25)ら20代の6人。日雇いの仕事が減って野宿者になった50代の男性は、テント村の住人に空き缶拾いを教えてもらって生活したり、住人や支援者らによる長居公園でのお祭りに参加した楽しい思い出を寄せた。

 また、42歳の男性は以前、野宿中に若者にけられたり、植木鉢を投げつけられたりしたが、テント村では安眠できたと振り返り「一度貧困で住居を失うと、なかなか元の生活を取り戻せない。好き好んで野宿しているわけではない」と書いた。

 川人さんは昨年春、友人の紹介で、テント村住人が大阪府藤井寺市内に借りた畑の作業に参加し、公園にも通うようになった。強制執行に抗議するため、住人や支援者らが、それぞれの生きてきた思いを一つの芝居にして、強制撤去当日に公演した。祭りを催したり、たき火のそばで夜通し語りあったテント村。「生臭いぐらいの人間同士のかかわりがあった。感じたことのない温かさがあった」と記した。

 渡辺さんらは「強制撤去は短期間だけマスコミに大きく取り上げられ、野宿者や支援者らが抵抗して騒いだだけと思われがち。さまざまな人たちが数年にわたり、テント村とのつながりを深めていたことを伝えたかった」と話す。

 記録集は、ビレッジプレス刊で231ページ、900円。全国の主要書店やネットで販売する。問い合わせは渡辺さん(電話090・9475・1504)へ。【犬飼直幸】