なべたにさんの2007年2月5日のレポート
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当日、市職員とガードマン達が入ってきて並びだし、代執行令書を読み上げてた頃、舞台は、「ひとりぼっちの夜」で始まった。これは、シナリオにはなかった。なんでこうなったかちゃんと憶えてないが、役者全員で舞台に上がって歌ってた。
あなたが 好きです! だけど・・・
今回の芝居にはテント村から5人が役者として参加していた。近くで居宅生活をする元野宿のなかまも1人。そして、テント村の住人の友人である若者ら7,8人だろうか。とひとくくりに言っても、それぞれいろんな縁・つながりで集まってきたなかまだ。野宿の問題に日常関わっている者や、長居の畑を通して長居に来るようになった者、近所に住み、遊びに来るようになった者。芝居はこれまで大晦日の長居のもちつき大会、代執行前の1月21日のプチ大輪まつり、と2度上演されている。そのとき出ていて、代執行当日はいろんな事情から出られなかった子たちもいる。でも、彼らも当日、現場に駆けつけてくれていた。
「作業の妨害となりますので、ただちに作業区域より退去してください」 「あ?つながりがないだと?あるじゃねーかあるじゃーのん!」
「危険です。作業の妨害となりますので、ただちに退去しなさい」
芝居は結局1回やりとおしたのち、2回目のときに役者のみんなのテントが壊されはじめ、そっちに向かったり、スクラムから引き抜かれそうになったひとが出たりで緊張状態になり、ストップしてしまった。有無を言わせないちからに対し、たたかわないための芝居。相手をクスッとさせたり、こっちの世界に引き込むための芝居。わぁわぁ怒鳴るのではなく、違う表現で自分達の思いを伝えたい、という芝居。いろんな側面があったと思うし、それぞれが芝居を通してやりたいことも完全に一致してたわけではないやろう。 ただ、決して、野宿者と支援者でつくった行政批判の芝居、ではなく、そこにあるコミュニティ、つながりのあるなかまでつくった、自分達の思いを伝えるための芝居、の方があたしにはしっくりくる。そもそもそこのテント村に住む当事者が芝居をやっていたんだ、という報道がほとんどなかった。「ホームレス」を、なにかをつくり出す主体だ、というふうに認めないメディア、社会。集まったひとにしても、東京や名古屋や横浜から、そして関西一円からそれぞれの思いを持って駆けつけたひとりひとりが、わけのわからない支援者だ、という風にひとくくりにされる。カンカン労働をしながら、アオカンをしながら応援に駆けつけたひと、不安定な労働をしながら食ってるひと、先の見えない不安を抱える学生、「運動」や「活動」をしているひとやって、そんなひとばっかりや。やからおかしいと声をあげてるんやろう。 あたしらは、ケンカしながら、笑いながら、泣きながら、怒鳴りながら、練習を重ね、最後には、芝居をやりとおしたい、というその一点のみで、撤去の瞬間まで、芝居に集中していた。テント場では、荷物を運び出したり、行き先を考えたり、仕事をしたり、ごはんつくったり食ったり飲んだり、メディアもいっぱい来る。お客さんもがんがん来る。そんな中、練習の時間をつくって、セリフを覚え、考え、アレンジし、そのエネルギーはすごかったのだと、本当にすごかったと思う。
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