怠け者の社会学
―もう一つの日雇い労働者のつくりかた―

はじめに

 このコンテンツはかつてwebマガジン factreeで連載していた「日雇い労働者のつくりかた」の続編にあたります。

 続編と言ってもその構成は大幅に異なるものになるのではないかと思っています。メインタイトルに「怠け者の社会学」とあるように、今回は「日雇い労働者」を題材としつつ、「怠け者」についての社会学的考察を目指しています。

 「社会学的考察」といっても何のことやらよくわかりませんが、僕ももう何年も専門的な社会学のトレーニングを受けているし、何本か社会学の論文を書いているような者なので、「社会学的考察」を志向してもそう無理はないのではないかと思います

 また「日雇労働者のつくりかた」の続編と言いつつも、今回対象とするのは「飯場労働者」ということになりそうです。飯場労働者は「日雇い」だし、寄せ場の日雇い労働者は飯場でも働くのでどちらも似たようなもので、同じものだと言っても構わないのですが、どのように呼ぶのかという問題はやはりあります(かつての僕は「飯場労働者のつくりかた」というタイトルでは書けませんでした)。

 何やらややこしいことを言いつらねていますが、本文の記述自体は相変わらず実際的な文章でつづりたいと思います。ややこしいことを言いつらねたイントロダクションを書いてしまう事情もあるにはあるのですが、これらの事情については本文の中でおいおい触れていくことにしましょう。

2009年8月

第1回 怠け者とは何か

第2回 誰が怠け者か

第3回 使用者の基準

第4回 勤勉倫理の論理

第5回 生活の中の勤勉倫理

第6回 関係性の中へ

第7回 怠け者の創出

第8回 怠け者の効用

第9回 理論的にはどんなものか

第10回 それでは何を考えるべきか

第11回 苦役と苦役でないもの

第12回 飯場労働の労使関係

第13回 使用者の認識と飯場労働者の実態のすれちがい

第14回 労働現場の中での相互行為

第15回 労働の中の喜びや楽しみ

 

おわりに